統計検定

統計検定というのは、日本統計学会公式が認定する「統計的なものの見方と統計分析の能力」を評価する試験です。

システムの品質を分析する作業では、統計学のスキルや手法を利用します。
例えば、プログラムのテスト項目作成時、条件分岐が複数存在する場合、その組合せは膨大なものとなりますが、どのように組み合わせるべきか、どの組合せの試験を実施すべきか、という判断に統計学の知識が役立ちます。
そして試験結果を評価する際、特に不具合が発生した場合の原因分析や対策立案には、統計的なスキルが必須といえます。品質分析ツールである、ゾーン評価やパレート図、誤り検出収束予測曲線などは、統計学の手法の一つです。
また、不具合修正後に実施する再試験の内容や試験項目数の検討にも、統計的な視点が必要となります。

統計学スキル

データに基づく数量的な思考により課題を確認し解決できるスキルが必要という認識をもとに、欧米や中国・韓国では大学に統計学科が設置されています。
日本でも、国際的な競争力向上を鑑み、体系的な統計教育の充実化を図るため、統計質保証推進協会を2011年に設立します。翌年になると文部科学省の補助事業として、9大学による統計教育大学間連携ネットワークという組織を創設します。

統計教育大学間連携ネットワーク

統計教育大学間連携ネットワークでは、大学における統計教育の標準的カリキュラム体系を策定させるとともに、達成度を評価する制度を整備して、統計教育の質保証制度を確立させるというミッションを持ち、統計関連学会連合の6学会と業界8団体の支援を得て活動をスタートさせます。

統計教育大学間連携ネットワーク
東京大学・滋賀大学・大阪大学・総合研究大学院大学・青山学院大学・多摩大学・立教大学・早稲田大学・同志社大学
統計関連学会連合6学会
応用統計学会・日本計算機統計学会・日本計量生物学会・日本行動計量学会・日本統計学会・日本分類学会
業界8団体
大学入試センター・日本アクチュアリー会・日本科学技術連盟・日本銀行・日本経済団体連合会・日本製薬工業協会・日本統計協会・日本マーケティングリサーチ協会

統計教育大学間連携ネットワークは英語名称を「Japan Inter-university Network for Statistical Education」とし、その略号「JINSE」で呼称されます。

統計教育の達成度を評価する仕組みとしては、2011年から統計検定を開始しています。
大学における統計教育の成果の確認し保証する資格として「2級」を創設するとともに、初等中等教育に対応する「3級」「4級」も用意しています。「3級」は大学受験水準で、「4級」は高校受験水準といったレベルになります。
翌2012年には大学院水準として「1級」が設けられました。

統計教育連携ネットワーク

2016年度で文部科学省の事業補助期間は終了しますが、それを引き継いで、開発蓄積された資産を教育関係者に提供するために組織として、2017年に参加対象機関を全国の教育機関に拡大した統計教育連携ネットワークが設立されます。
大学と学会は以前と同じですが、連携団体は大学入試センターと日本科学技術連盟を除いた6団体になっています。

このネットワークの下、標準的なカリキュラムコンテンツと教授法を整備し、組織的な統計教育を行なうことで課題解決型人材を育成するとともに、学会及び団体が構成する評価委員会による教育効果評価体制を構築することにより、統計教育の質保証制度を確立していくこととしています。

統計教育連携ネットワークの取組
社会で求められる人材像の設定
評価基準の策定
標準的なカリキュラムの策定及びコンテンツの開発・提供
教育手法の改善のためのトレーニングの場の提供

統計教育連携ネットワークの英語名称は「Japanese Inter-organizational Network for Statistical Education」となりましたが、略称は「JINSE」としています。
以前の「JINSE」と区別をする必要がある場合には「拡大版JINSE」としています。

統計検定

統計検定は、統計に関する知識や活用力を評価し学習達成度を確認する全国統一で行われる検定試験で、総務省・文部科学省・経済産業省・内閣府の後援事業となっています。
データに基づいて事象を客観的に判断し、科学的論理的な視点から問題を解決する能力が評価されます。

対象は中高生・大学生・職業人としており、国際通用性のある統計活用能力評価システムにより、レベルに応じた統計検定を実施しています。

試験種別

試験種別は、以下のようになっています。

種別 試験内容
統計検定:1級 大学専門課程で習得すべきことをベースに、実社会の様々な分野でのデータ解析を遂行する統計専門力
統計検定:準1級 大学における統計学の基礎的講義と、その応用的な活用力について検定 ─ データサイエンスの基礎
統計検定:2級 大学基礎過程で習得すべきことをベースに、統計学の知識と問題解決力を検定
統計検定:3級 大学基礎統計学としてデータ分析における重要概念の習得度と、問題解決のための統計活用力の評価
統計検定:4級 データや表・グラフ、確率に関する基本的な知識と具体的な文脈の中での統計活用力を評価し認定
統計調査士 統計検定3級合格程度の基礎知識に加え、公的統計に関する基本的知識と適切に利活用する能力
専門統計調査士 統計検定2級合格程度の専門知識に加え、調査全般に関わる高度な専門的知識と総合的な知識水準

統計調査士試験の合格者には、日本統計学会の「統計調査士」認定証を授与
統計調査士と専門統計調査士の両方の試験の合格者には、日本統計学会の「専門統計調査士」認定証を授与

試験

紙を使う従来型の試験方式と、コンピューターを使うCBT(Computer-Based Testing)方式があります。

紙ベースの試験は年2回、6月中旬と11月下旬に実施されています。6月中旬は「準1級・2級・3級・4級」のみで、11月下旬は「準1級」を除いて実施されます。
試験会場は、札幌・仙台・東京 23 区内・立川・松本・名古屋・大阪・福岡とありますが、6月中旬は札幌・東京23区内・名古屋・大阪地域・福岡地域となっています。また、団体特設会場が用意されることがあります。
ちなみに1級は「統計数理」と「統計応用」に分かれているのですが、両方受験することもできます。ただし「統計応用」は「人文科学」「社会科学」「理工学」「医薬生物学」から1分野を選択する形です。

CBT方式の試験は、試験種別「2級・3級」のみで、随時実施されています。
試験会場としては、全国主要都市を含む約200か所の提携施設があり、試験会場ごとに試験実施日が決められています。
受験料は紙ベースに比べると若干高額となっていますが、学生には学割があり紙ベースと同額になります。

受験料

実施試験 紙ベース受験料 CBT方式受験料
統計検定:1級「統計数理」  6,000円
統計検定:1級「統計応用」  6,000円
統計検定:準1級  8,000円
統計検定:2級  5,000円 7,000円(学割 5,000円)
統計検定:3級  4,000円 6,000円(学割 4,000円)
統計検定:4級  3,000円
統計調査士  5,000円
専門統計調査士 10,000円

統計検定1級「統計数理」と「統計応用」の同時受験の場合、受験料は併せて 10,000円になります。

JINSE版統計検定

統計教育連携ネットワーク(JINSE)が「統計検定」を利用して実施している学習達成度評価を、JINSE版統計検定といいます。JINSEにより受験資格が認められると、「JINSE版統計検定」を受験することができ、受験料が割り引かれます。
JINSE版統計検定には、JINSE一般会場受験とJINSE特設会場受験があります。

受験種類 条件 受験会場 受験料割引
一般会場受験 10名以上の受験者がいる場合に「JINSE一般団体受験申込書」を提出 一般試験会場 10%引
特設会場受験 JINSE所属会員が会場を設置して自身で試験を運営する場合、「JINSE特設会場設置登録申請書」を提出 / 試験資材の送付返送費用8,000円を負担 JINSE特設会場 40%引

JINSE版統計検定は、一般受験と同一問題・同一基準で採点されるため、統計検定の資格として認定されます。
試験実施約1ヶ月後、統計検定センターのサイトに合格者受験番号が掲載され、JINSE会員には受験者の学習達成度に関する情報が提供されます。

受験者には「試験結果通知書」が送付され、合格者には「合格証」も送付されます。

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